中村哲とアフガニスタン・ペーパーズ
タッチ&ゴー宣
《収録参加》
皿:皿うどん
え:えみりん
た:たっちゃん
《収録》
2020年4月2日20時30分から21時00分
《司会・編集》
皿うどん
週刊SPA!4月7日号
ゴーマニズム宣言 第79章
「中村哲とアフガニスタン・ペーパーズ」
た:アメリカがアフガンで失敗したという事実が全然知らされていなくて、テレビなどでは米軍やメディアに演出された情報しか流れていない、それがほんまに怖いと思いました。
皿:アメリカは、ベトナム戦争のときでも同じようなことがありましたね。よしりん先生は子供の頃に新聞(赤旗)を切り抜いて、それをスクラップにしていたと、以前ゴー宣で描かれていました。
た:小学校の自由研究でベトナム戦争のレポートを作るんだから、よしりん先生すごいです(笑)
皿:その頃からアメリカという国は変わっていないんだなあと改めて思いました。
た:アメリカは、いつもこういうことばっかりやっているんですけれども、日本でも最近似たようなことになっていないかと感じました。
皿:日本はアメリカにベッタリと、思考放棄で追従していくという、このままでいいのかなと考えますね。
た:中村哲さんの『私が今までアフガンで仕事をしてこられたのは、日本の先人たちのお陰で、対日感情が非常にいい国だったからだと思っています。「だった」と過去形で言わざるを得ないんですけどね。』という言葉。これに限らず昔の日本人が築き上げてきたことが今じゃもう崩れ去ってしまっているということが色々あると思うので、この言葉は重いと思いました。
皿:そうですよね。
た:この一章も読んでいて、すごくどんよりした気持ちになりました。
皿:中村さんは去年の12月に殺されてしまいましたよね。
た:現地で凄く力を尽くしていた人が、こんなことになってしまうなんて・・・。
皿:よしりん先生は実際にお会いして対談をされているから、やっぱり「殺された」って知った時には、読者の僕ら以上に衝撃を受けたと思います。
た:そうですね。
皿:この時の対談は「わしズム」に掲載されていたんですか?
た:実は僕は「わしズム」全部持っているんですよ。
皿:おお!それは凄い!
た:ただ、この対談があったことは全然覚えていなかったんですけど(苦笑)
皿:ええっ、おーい(笑)。
た:後で読み返して「あっ、そういえば、やってたな」と思い出しました。
皿:でも、僕らみたいに読んだけど詳しくは覚えていない人とか、忘れちゃった人とか、そのときは「わしズム」を読んでなかった人もいるから、こうしてSPA!「ゴー宣」で取り上げられることは大きな意味があるんですよね。
た:本当にそうですね。「わしズム」では、よしりん先生はいろんな各界の著名人の方々と対談されていましたよね。
皿:芸能人や文化人や漫画家やジャーナリストや・・・それも楽しみでしたよね。
◆◆◆
え:私は中村哲さんという人のことをあまり知らなくて、去年の報道で初めて知った後に、よしりん先生が漫画に描きはってどういうことをされてきた人なのかを知ったんですけど、今回の「ゴー宣」を読んだときに「ああ、お医者さんでこういうことをされてる人がいてて、アフガンで仕事をされていたからこそ、現地の実情についてもこんなに詳しい人だったんだ」ということを知って、「アフガニスタンがタリバン政権の時よりも凄く悪い状態になってしまった」という描写を読んだときは驚きを感じました。
た:確かに驚きました。
え: 後はもう、アフガンにいる米軍の「もう早く帰りたくてたまらない」という発言、中村哲さんが現地で得た情報に基づいてますが、『戦争をしかけたのに「早く帰りたい」ってどういうことなん?』と思いました。
皿:そうですね。
え: そんな状態やのに、次はイラク戦争してるんやって思いました。実質的には負けてるのに、なんかもう「戦争が目的の戦争」みたいなことになってないかなと思いました。
皿:戦地に行っている一人一人のアメリカ軍の兵士と、本土から指示を出している人達との意識は全然違うんでしょうね。
え: 米軍の軍人の家族は、どんな気持ちなんかなあって思いますね。大義も何もない戦争に行かされて・・・。
皿:それぞれの立場を想像して考えてみると、いろいろと思いが深まりますよね。
え: 「先人たちの対日感情が非常によかった」お陰で活動出来ていたと語り、干ばつで砂漠化したところに森を作ったりとか、アフガンの為の大事業をやってきた中村さんが殺されるということは、ものすごく反日感情が強い状態なんやろうなって思いました。
た:そうですね。
え: その人が現地で何をしているかというよりも、もうただただ「日本人」というだけで殺されてるんやろうなあって、今回のゴー宣を読んでいて、怖いなあと思いましたね。
皿:たぶん中村哲さんが現地でやっていることを尊敬したり、支持する人達もいたんでしょうね。それだけの大事業をされた方ですし。でも、別の勢力は「弱いものいじめに加担する国である日本」という見方で、日本人は敵だ、攻撃しろ、殺害しろってなっていたのかなあと思いますね。
た:はい。
皿:でも中村さんが仰っていたように、日本の先人たちがアフガンに残した遺産は、もう潰えてしまったんでしょうね・・・。
え: 昔、アフガンが親日だったのは、かつての日本人が、弱くても大国を相手に戦っていたということ、今回のゴー宣にあった中村哲さんの言葉「弱い日本が強い外敵ロシアから自分を守ったこと」が理由ですね。でも、「ところが今は、その日本が弱いものいじめに加担する国になってしまった」とあります・・・これは、アフガンの人達から見たら「同じ日本人なのかな?」って、衝撃が走ったのだと思いました。
た:はい。
え: 弱くても戦っていた日本人が、アメリカという強い国にすり寄って自分達を攻撃しているというのが、信じられへんかったんちゃうかなって、思いました。
皿:もしかしたら中東の人達の中でも、大東亜戦争のことを青年時や幼少期に体験したり、親などから伝え聞いてきた人達は、日本への親日感情の名残みたいなのを引き継いでおられたのかなと思うんですよね。
た:うんうん。
皿:でも若い世代の人達はもう、そういうのは関係なくて「今の日本はアメリカと一緒になって弱い者いじめに加担している」としか映らないんでしょうね。
た:アフガニスタンはそんな気軽に行ける距離でもないと思うんですけれども、そんなところにまで「対日感情がとても良い」という風土を作ることの一助になった昔の日本の先人の功績はとても凄いのに、こんな簡単にポンと崩れてしまうという、無くしちゃいけないものが無くなってしまっていると感じます。
皿:とてつもないことですよね。
た:もう一回、同じ「親日感情」を作ろうと思ったって、なかなか大変なことでしょうと思いますね。
え: もう出来ないでしょうねえ・・・。
皿:たぶん自称保守とかネトウヨとかの人達は、今も親日の国には日本の祖先が築いた遺産は残っているんだ、と思っていると思うんです。逆にリベラルや左翼の人達は、とにかく、戦前の日本は「悪」だと、今も酷い国やと、そう思っている人が殆どでしょうね。
た:はい。
皿:でも実際に現地でお仕事をされて、様々な体験をされてきた中村哲さんの言葉を聞くと、そういう机上の論理というのは、全て軽いなと改めて思いますね。
え: そうですね。
た:これだけの偉業を成し遂げてこられた方が、あまり知られていないような気がするのが、勿体ないというか、もっと知られるべきなんじゃないかと思いますね。
皿:生前に中村哲さんのことを大々的に取り上げてきたメディアが少なかったということもあるんでしょうね。
た:「日本ではアフガニスタン・ペーパーズのニュースは殆ど注目されなかった」っていうのも、なんでこういう重要なことって、日本であんまり報道されないんでしょうかね。
皿:やっぱりテレビを見てる人が身近にワーッ!て反応しそうなニュースを次から次に出して視聴率を取ろうという感じでやってるからでしょうね。
た:うーん・・・。
皿:重要なニュースだけど、商売にならないから大きく報じない、みたいな・・・。それじゃダメなんですけれどもね。
◆◆◆
皿:今回の章の感想とは別に「5月3日の憲法記念日に、名古屋に山尾志桜里、井上達夫、伊勢崎賢治らがゲストで来てくれる」とありますけど、確かこれ、よしりん先生のブログを見てたら、延期になったんですよね?
え: 名古屋ゴー宣道場は11月になりましたね。
皿:欄外の方でもコロナのことを書いてますけど、今も状況は変わっていないですよね(苦笑)
え: 「さっさと感染して体内に抗体を作りたいものだよ」って、日本で言ってるのって、たぶん先生だけちゃうかなって。
皿:同調圧力がエグいですからね。
た:僕の会社でも、今、不用意に感染しそうなところに行くなよっていう空気、すっごい出てるんですよ。
皿:ありますね。病院の待合室とかも凄いですもん。しょうがない面もありますが。
た:身の回りは割と冷静なんですけどね。報道とかで流れてる方がやたら煽ってるんですよね。
皿:それは確かにありますね。報道の煽りに乗ってしまって、同調圧力で言ってくる集団の圧の方が世間で上回ってしまってるんでしょうね。感染症に気を付けることは大事なんですけれども、不安の煽り方が尋常じゃなくなってしまっていますから。