タカがコロナで自粛するな!ワシはワシ派なのだ!

 

ハックスレーの

ゴー宣いきもの図鑑⑨

 

「タカがコロナで自粛するな!ワシはワシ派なのだ!」

 

一種類徹底解説講座

 

 

ダルマワシTerathopius ecaudatus。

 

雄成鳥の剥製。
タカ目タカ科ダルマワシ属。

体長55〜70センチ、体重2〜2.6キロ、翼開長186センチの中型のタカです。

 

サブサハラアフリカ、すなわち西はセネガルから、東はアフリカの角まで分布。
顔や脚の皮膚は明るい赤色で、地味な体色の多いワシの中では珍しく色鮮やかな種です。

 

雌は羽の付け根が白くなるのに対し、雄は真っ黒なので、雌雄の区別は簡単です。
尾羽は非常に短く、種小名のecaudatus(尾羽がない)の由来にもなっており、飛翔時には赤い脚が尾羽を超えて突き出して見えます。

 

一方、若鳥は全身が褐色ですが、長い翼や大きな頭といった体型は成鳥さながらで、尾羽も換羽ごとに短くなっていきます。
一日の80%を空中で過ごし、地上の獲物を探しながらときに500km以上も移動します。
その割には地上の水場で群れをなし、翼を広げて日光浴してる姿も観察されるそうです。
尾羽が短い為、左右のバランスをとりながら高速で滑空する飛び方から、「軽業師」を意味するフランス語のBateleurという英名がつけられています。

 

ダルマワシは蛇やトカゲなどを狩るエキスパートですが、ジサイチョウなどの鳥類も捕まえ、そのほか齧歯類やノウサギなどの哺乳類も餌とします。
一方で要領の良い掃除屋でもあり、ハゲワシに先んじて動物の死骸にも集まってきます。

 

繁殖の季節はアフリカ西部で5〜9月、南部では12〜8月、東部の個体は通年行っています。
雄が雌の方へ急降下し、雌が背中を下にして、通り過ぎていく雄に鉤爪を見せ、雄は羽音を打ち鳴らしたり、連続した横回転を披露する華々しい求愛行動を行います。
こうして誕生した番は生涯をともにし、水辺に生える木の又に枝を使って巣を作り、卵を一個生みます。
抱卵期間は54〜59日、雛が巣立ちを迎えるまでには最低110日、その後も親鳥の縄張り内で過ごします。
親元を離れた若鳥が成鳥の羽衣を手に入れるまでは8年もかかるそうです。
寿命は長く、中には25年生きる個体もいます。

2018年12月6日に上野動物園でダルマワシの雄個体が死亡しましたが、来園したのは1971年4月なので飼育期間は47年超です。

アメリカのセントルイス動物園の長寿記録は55年です。




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