ハックスレーの
ゴー宣いきもの図鑑⑪
「ラミダス猿人も喰ってた(?)アフリカ最強のタカ」
猛禽類中最大の獲物を仕留めるカンムリクマタカStephanoaetus coronatus。
タカ目タカ科カンムリクマタカ属。
昨年9月に南アフリカから直輸入しました。
森林ギニアを含むアフリカ西部からコンゴ盆地を経て、アフリカ東部へと至る地域と、アフリカ南部の東側の地域に分布します。
この広大な分布域の内、熱帯雨林や山地のある森林に生息しています。
脚に羽毛のあるクマタカ類の最大種で特定動物です。
全長80〜99センチ、雄は体重2.5〜4.1キロ、雌は3.2〜4.7キロに達し、翼開長151〜181センチになります。
頭部に房状の羽冠を持ち、鋭い眼光は王者の風格があります。
アフリカではゴマバラワシと1、2を争う大型で強力なワシですが、その爪の強さではゴマバラワシを凌ぎます。
足指のスパンは19cm、爪や長さは6.2cmもあります。
その獲物は鳥類、小型のサル、キノボリハイラックス、アンテロープなどですが、自分の体重の4倍もあるブッシュバックや、ジャッカル、マンドリル(若い個体)をも捕食します。
1983年には、ザンビアで7歳の少年を襲って重傷を負わせた信憑性の高い事例や、巣から人間の死体が見つかった確かな記録があるそうです。
また、約250万年ほど前の猿人オーストラロピテクスや、約300〜400万年前のアファール猿人も捕食していたらしく、1924年に研究者が掘り当てた推定年齢3歳のアファール猿人の頭蓋骨は鉤爪に貫かれていたそうです。
その子供の体重は推定11キロで、体重が5キロにも満たないタカの力に驚くばかりです。
もしかすると440万年前に生きていた最古の人類であるラミダス猿人も捕食していた可能性がありそうです。
カンムリクマタカは成鳥になるのが遅く、野生寿命は14年と考えられていますが、完全成鳥羽になるのに20年はかかると推定されています。
この恐るべきを捕食者は繁殖期になると、求愛のディスプレイをすることが知られています。
雄が頭をのけぞらせて、「キィー、キィー、キィー」と鳴き声を上げながら樹冠のはるかの上、2000メートルもの高さまで上昇してから一転、メスに向かって急降下すると、互いに鉤爪を握り合い、空中で宙返りをすると言うものです。
絆を深めたペアは高木に巨大な巣をかけ、1〜2個の卵を産みます。
49〜50日間温め続けますが、この時期のペアは凶暴になり、人間を含める如何なる侵入者に対しても攻撃を加えます。
複数の雛が孵化しても、生き残るのは最初に生まれた一羽のみです。
その雛は90〜115日後に巣立ちを迎えますが、それからさらに狩りの技術を磨く為、9〜12ヶ月は親の元で過ごします。
《参考文献》
※世界一美しい鷲の図鑑・株式会社エクスナレッジ
※動物たちの地球16・朝日出版社