カミツキガメ

 

ハックスレーの

ゴー宣いきもの図鑑 

第14弾

カミツキガメ

Chelydra serpentina

カミツキガメChelydra serpentina。

 

カメ目カミツキガメ科カミツキガメ属。

外来生物の中で最も知られている種ではないでしょうか?

本種は外来生物法によって特定外来生物に指定されており、飼育、販売、繁殖、移動等が禁止されています。

カナダからエクアドルにかけてのアメリカ大陸に分布しており、背甲長49cmに達する大型種です。

背甲には3本のキールがあり、背甲後縁はギザギザになっており、腹甲は小さいです。

四肢はがっしりしており、頭部が大きく、尾は太くて長いです。

水生傾向が強く、緩やかな流れや止水中の水生植物、岩、沈水木などが多い場所を特に好みます。

 

1960年代に日本国内に持ち込まれ、遺棄された個体が繁殖しています。

特に千葉県印旛沼付近および静岡県に定着しており、東京都練馬区光が丘公園、上野の不忍池でも定着の可能性があります。

他にも福島、新潟、群馬、茨城、埼玉、神奈川、山梨、長野、石川、東海、近畿、岡山、鳥取、広島、山口、香川、福岡、佐賀、長崎、大分、宮崎、熊本、鹿児島、沖縄の各県でも記録が続いてます。

 

原産地では4~11月にかけて交尾が見られ、産卵は5~9月にかけて行います。

交尾は水中で行い、雌が深さ10~13cmの巣穴を掘って直径23~33mmのピンポン玉のような丸い卵を産卵し、幼体は55~125日で孵化しますが、孵化が翌年になることもあります。

一腹卵数は11~83個ですが、20~30個が普通で、稀に100個を越えることも。

本種は遅延受精をします。

遅延受精とは、交尾をした雄の精子を数年間体内で貯蔵し、数年間は有精卵を産み続けることです。

カミツキガメは、原産国でワニやカワウソなどにより捕食されており、捕食圧もかかるために、遅延受精という生存戦略を取ったのではないかと思います。

 

肉食性の強い雑食で、水草、水生昆虫、ザリガニ、カニ、エビ、貝類、ミミズ、ヒル、淡水カイメン、魚類、カエル、ヘビ、小型のカメ類などさまざまなものを採食し、そのおかげで淡水生物相に広く影響が及んでいます。

その和名の通り、気性は荒いです。

陸にあげた個体は積極的に攻撃してきます。

私は実に不名誉な和名だと思ってますが。

 

参考文献

※https://www.nies.go.jp › detailウェブ検索結果カミツキガメ / 国立環境研究所 侵入生物DB

※日本の外来生物-平凡社




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コメント: 9
  • #9

    和ナビィ (金曜日, 03 7月 2020 14:35)

    ハックスレーさん、お答えどうもありがとうございました。
    生物の世界は微妙なバランスをとりながら成立しているのですね。

    この辺り一帯はカシグルミの産地でもあるのですが、アメシロにやられると、実を付けてもシイナ(中身が空っぽのこと)になってしまい、軽い実を割ると黒いカサカサばかりになります。見かけはクルミですが食えない;。
     ナッツは夏の間太陽を浴びた豊かな葉が作った栄養を貯蔵したものなのですね。

    ヤママユ大発生の時は樹々ばかりでなく、民家の壁にまで糸を張った繭が幾つもくっついていました。やはり自然のバランスが狂ったのでしょうね。

     話は飛びますが、この頃「バランス(均衡の感覚)こそすべて・・」と感じます。固定・居付くのでなく、動的な平衡を以て進んでいく、いつも感受しては変わって行く、と。まるで綱渡りみたいですね(^^)>;;。

  • #8

    ハックスレー (木曜日, 02 7月 2020 15:23)

    えーと、蛾が大発生、パタリと掻き消える要因ですか。
    種によってケースが違うのですが、アメリカシロヒトリに関しては三つの深い理由があります。
    1.小さいケムシの頃は、集団で網を張るため目立ち、枝ごと切られ焼かれる。
    2.成長すると網から出て活動するため、鳥や他の昆虫に食べられてしまう。
    3.良い毛虫退治スプレーができたり、樹を見張っている人が増えた。
     実はアメリカシロヒトリは八百から千個の卵を産んでも四、五匹の子どもが生き残るだけです。
    けれども鳥や肉食性昆虫にとっては、食べ物が八百から千個も歩いているようなもので、これはラッキー!というわけで、彼らの繁栄に一役買っているのです。 
    意外なことにアメリカシロヒトリの幼虫は葉を見つけると、口から糸を出して葉っぱをグルグルまきにします。
    そして網と食べ物を同時に手に入れるのです。
    食べ物がなくなると移動します。
    特別な液を出しながら進み、後から来る仲間を引き連れます。
    さらに驚いたことに、一匹残らず新しい葉に到着するのでそうです。
    実は幼虫は葉を食べるだけで、樹そのものは害しません。
    それほど恐ろしい昆虫でないのです。
    なので「アメリカシロヒトリは三流害虫」と評する専門家もいます。
    都会で目立つのは、この幼虫を食べるトリやクモが少なくなった、その他にも大きな理由があります。
    それは、夜行性の昆虫という点です。
    都会では夜の間はずっとキラキラしています。
    成虫になったアメリカシロヒトリは、葉に卵を生むのです。  
    アメリカシロヒトリを増やしているのは人なのかもしれませんね。
    答えになっていれば良いのですが。

  • #7

    和ナビィ (水曜日, 01 7月 2020 20:58)

    蛾に発生についての質問です。

     私が子供の頃には夜になると色とりどり様々な蛾が集まり、網戸でも閉めておかないと、電灯の周りをワヤワヤと乱舞するのでした。たまにはクワガタやカブトムシがブゥーン、カチッと飛来することもありました。

     小学校の理科園にある誘蛾灯の周りにもそれはたくさんの蛾が寄り、翌朝、下に置いたたらいの中にはいろんな種類の蛾が浮いていました。

     いつの頃からでしょうか、蛾の種類も数もめっきり少なくなってしまいました。
     ところが十年ほど前だったか、ヤママユが気持ち悪い程大発生してそればかりが毎晩乱舞しました。ガソリンスタンドやコンビニの灯りの周りはゾッとするほどで下にもたくさん落ちていました。しかし、一夏だけでパタリといなくなったのです。

     アメリカシロヒトリの名を聞くようになったのはもうだいぶ前です。子供の頃は見なかった蛾です。クルミの樹やある種の庭木などにびっしりと卵を産み付け、その小さな毛虫はたちまち樹全体へと散り、物凄い食欲で葉を食い荒らします。丸坊主になったクルミの樹もよく見かけました。
     地域ぐるみで駆除に当りましたが(消毒・早めに見つけて毛虫が散らないうちに焼く)、勢いに追いつかないくらいでした。

     ところがここニ三年、これまたパタリといなくなったのです。信じられないくらい繁殖していたのに。駆除が功を奏したから、という感じではなく「掻き消えた・・」のです。

     蛾が大発生する、そしてパタリと掻き消える、・・・気候の変化とかその他の要因があるのでしょうか。大発生も消滅もなんだか不気味;です。

  • #6

    和ナビィ (木曜日, 25 6月 2020 22:01)

    早速お教え頂き、どうもありがとうございました。
     やはり、地方地方の生き物は、デリケートなバランスを以て生息し、その種の命を繋げているのですね。そこに異種が入ることで環になった鎖が引き千切られるように、バランスが崩壊してしまう、と。繁殖するものだけに一旦侵入してしまったら文字通り始末におえない問題なのだと思いました。

     お話しを伺ううちに、やはりグローバリズムとの関係が大有りだということがわかります。今世界を席巻している新型コロナウィルスの問題もそれだと思います。地域・国の垣根を安易に下げることの危険をあらためて感じます。

     なんかゴーマニズム宣言の話題とも通じているように思いました。(cf.「民主主義という病い」第16章)

  • #5

    ハックスレー (水曜日, 24 6月 2020 19:56)

    和ナビィさんへ。
    「侵入生物についてその事例、問題点」ですね。
    えーと、まずは言葉を整理しましょう。
    人間によって自然分布域以外の地域に移動させられた生物を「外来生物・外来種」「侵入生物・侵入種」「移入生物 ・移入種」と呼びます。
    グローバリズムを押し進めた日本では2000種を超える外来生物が記録されています。
    外来生物は,移動先で繁殖集団を形成し、その土地の生態系・農林漁業・人間の健康や日常生活などに対して影響を及ぼすことがあります。
    大きな影響を及ぼすものを「侵略的外来生物」と呼びます。
    事例がものすごく多いので、ここでは代表的なのを取り上げます。
    侵略的外来生物で有名な種がオオクチバス。
    ご存知だと思いますが、北米原産の外来種で肉食性で大食漢です。
    ブラックバスの呼び方もありますが、それはオオクチバス・コクチバス類をひっくるめた呼び方です。
    オス親が稚魚を保護し、生存率が高く、在来生態系への影響は計り知れないです。
    本種は赤星哲馬氏によって1925年に持ち込まれた本種は、最初は芦ノ湖に封印されていましたが、そこから持ち出した人間が全国各地に密放流して広がりました。
    「ブラックバスがメダカを食う」の著者である秋月岩魚氏が密放流に関わった疑いのある釣り業界の人を厳しく批判してます。
    実は本種は特定外来生物に指定されておりますが、外来生物法(2005年)が施行される前、本種を指定するのに特別に専門家会議が開かれ、激しい議論が行われましたが、当時に環境大臣であった小池百合子の鶴の一声で指定された経緯があります。
    なので環境問題の専門家からは小池百合子の評価は相変わらず悪いです。
    さて、いわゆる「侵入生物」は海外から侵入してくる場合に限りません。
    日本国内で自然分布域の外へ運ばれる場合もあります。
    これを「国内移入種」と呼びます。
    例えば琵琶湖固有種にハスと呼ばれる魚がいますが、本種はアユの放流に混じり、全国への広がりました。
    ハスは肉食性なので他の小さな魚を捕食し、オオクチバスと同じく、他種に捕食圧を加えています。
    今も研究で飼育しておりますが、大変よく餌を食べます。
    外来生物法では国内移入種に関する規制はまだありません。
    専門的すぎるので省きますが、そもそも私にとって外来生物法というのは、逆に外来生物を保護してる法律に見えて仕方ないのです。

  • #4

    和ナビィ (水曜日, 24 6月 2020 09:49)

    動物でも植物でも、本来日本には存在していなかった生物が何らかの理由で海外から入って来る、そして生態系に影響を及ぼす、そういうことがたくさんあることと思います。
     ペットとして飼っていたものが逃げ出したり、飼いきれなくなって無責任に放してそれが繁殖して、ということもあることでしょう。
     仰っていた「侵入生物」についてその事例、問題点はどのようなものでしょうか。

  • #3

    ハックスレー (月曜日, 22 6月 2020 06:13)

    おはようございます。
    カメの寿命ですね。
    まず普通の亀は20年も生きないと思います。
    北米の研究者の熱心な調査により、数年で成熟し、十数年で死滅するのがデータのようです。
    長寿記録を調べるとアルダブラゾウガメ、「マリオンのゾウガメ」と呼ばれた個体は152年(事故死)、カロリナハコガメが132年、ヨーロッパヌマガメが120年。
    あの南方熊楠の飼っていたクサガメの「お花」、この個体は熊楠が亡くなってから60年も生き、2001年7月に老衰で死亡しました。
    その「お花」は100年以上生きたといわれています。
    長い記録はありますが、意外に少ないのです。
    正確には「人は100年、樹木1000年」とするの良いでしょう。
    実は動物の寿命を調べるのは大変なんです。
    卵を孵化させ、健康な状態で寿命を全うするまで飼育せねばならず、餌や飼育環境によって当然変わってきます。
    野外調査では甲羅の鉢に小さな穴を開けて、マーキングして調査したりしています。
    今も涙ぐましい努力が続けられているのです。

  • #2

    カレーせんべい (日曜日, 21 6月 2020 23:11)

    『ツルは千年 カメは万年』
    という言葉がありますが、本当の亀の寿命って何年ですか?
    (種類にもよるでしょうが)

    人間より長生きする動物って、あまりいないイメージなのですが、実際はどうなんでしょうか?

  • #1

    和ナビィ (日曜日, 21 6月 2020 23:07)

    クワッと口を開いてその名の通りの面構え、「影茶魔の逆襲」(おぼっちゃまくん・文庫版第6巻)に出てくる「ブラック・タートルズ」を思い出してしましました;。

    「 侵入生物」というのは、従来のその地の生態系のバランスを崩し、連鎖して様々な影響が出るのでしょう。大変な問題だと思います。

     そうそう、先日夜9時半頃外に出たら、すぐ近くの林から聞き慣れない鳥の声。「ホー、ホー、ホホー・・」と。すぐYouTubeで調べたらまさしくフクロウ!。ここに住んで四十年余りになりますが初めて聞きました。静かないい声です。
     翌日近所のお年寄りに話したら「子供の時分にはよく聞いたもんだよ。今もいるんだねぇ。」と仰っていました。