投稿者:あか組さん
旅館業法改正というのがテーブルにあがっております。
「コロナ疑い客」「感染症対策に協力しない客」「迷惑客」宿泊拒否可能というものであります。
このような法改正は、新たな差別を生むこととなりますので、非常に危機感を持っており、大反対です。
あまり知られておりませんが、真に健康上の理由でマスクが難しい場合、現行法においても法的な対抗手段があります。
マスク着用「お願い」への対抗策として活用できるのは、2016年4月1日に施行された「障害者差別解消法」という法律です。
同法は国連の「障害者の権利に関する条約」の締結に向けた国内法制度の整備の一環として、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、
障害を理由とする差別の解消を推進することを目的として作られた法律です。
「障害者差別解消法」につきまして、詳しくは内閣府Webサイトをご覧ください。
https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai.html
マスク着用の対抗策となる条文も引用します。
障害者差別解消法(抄)
第一章 総則
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。
二 社会的障壁 障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。
第三章 行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置
(行政機関等における障害を理由とする差別の禁止)
第七条 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。
2 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。
(事業者における障害を理由とする差別の禁止)
第八条 事業者は、その事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。
2 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない。
「障害者差別解消法」の条文は以下リンクよりご覧ください。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=425AC0000000065
同法がなぜマスク着用「お願い」への対抗策となる理由ですが、法2条2号が規定する「社会的障壁」、法7条・8条が規定する「合理的配慮」というものにあります。
「社会的障壁」とは、障害者にとって日常生活の支障となる事柄や慣習・その他一切のものをいいます。車いすの方であれば、「段差がある」ことが社会的障壁にあたります。
「合理的配慮」とは、障害者から何らかの助けを求める意思の表明があった場合、過度な負担になり過ぎない範囲で、「社会的障壁」を取り除くために必要な便宜のことです。
通常犬を同伴してはいることが許されないお店において、視覚障害者の方が盲導犬を同伴して入店するのを認めるのが、「合理的配慮」一例として挙げられます。
マスク着用に関しては、障害者や疾患を持たれている方において、以下の様に「著しい困りごと」になっている現状があります。
(1)「知的障害」「発達障害」の場合、感覚過敏が生じるなど身体的に大きな負荷を伴うため、マスクを着用しない方もいます。
(2)「聴覚障害」の場合は、表情が読み取れなくてコミュニケーションに著しい支障があるのが現実です。
(3)喘息など呼吸器疾患の場合も、呼吸が難しくなるため、身体的な負荷は大きいと言えるでしょう。
「合理的配慮」は個別性の高いものであり、(1)から(3)のように、マスク着用困難な場合については、マスク着用がまさに「社会的障壁」ですので、これらを理由にマスクできないと意思表示があった場合、マスク着用免除を認めるのが法7条2項・8条2項でいう「合理的配慮」となります。
なお、障害者差別解消法は、障害者手帳保有有無を問わず適用され、合理的配慮の提供に関しては、行政機関等が法7条2項により義務、事業者(ホテル・店舗・交通機関等)が法8条2項により努力義務です。
健康上の理由でマスクできないと説明しても、入店拒否にあった場合は、ためらわず都道府県の障害者差別解消法を所管する部署に相談してください。
マスクが健康上出来ないときは、「マスク着用免除」が障害者差別解消法でいう「合理的配慮の提供」にあたります。
相談することで行政機関が間に入ってくれます。
自分も宿泊施設で予約の際マスク着用を求められた場合、都道府県の障害者差別解消法所管部署に相談したことで、マスク着用免除を勝ち取れたことも数回ありました。
なお、東京都は「東京都障害者権利擁護センター」が相談箇所となります。
自分は、コロナ禍になってから「法律」というものに極めて敏感となりました。(ちなみに、休業手当未払で勤務先会社と裁判所で争っています。)
自分は障害者(精神3級)であり、障害差差別解消法を知っている自分にとっては、「法律をガン無視する」「法律を知らない」という人が安易にマスク着用を求めることに対し、非常に怒りを覚えるというのが率直な考えです。
(管理人カレーせんべいのコメント)
長いので要約すると・・・、
マスク強制という「八つ墓村の掟」の対抗として、『法律』が盾にもなり、武器にもなるということですね。
その具体的な法律として、マスク強制に対しては「障害者差別解消法」が有効であり、
もし障害者がマスク強制で入店拒否といった扱いを受けた場合は、障害者差別解消法を所管する部署に相談することで、行政機関が間に入ってくれるわけですね。
障害者だから戦えることもある。
社会に対する啓蒙として、そのような戦い方ができるわけですね!!
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リトル (火曜日, 19 7月 2022 21:17)
参考になります。ありがとうございます。
ただ一点だけ私の個人的意見、というか思いを言うと。
マスクするしないの問題でもめて、「あそこは障害児だから」と子供が注目されるのは避けたいです。特に地元にでは・・・。
ただでさえ障害があるというのは、子供の世界では普段から目立つ存在なもので・・・。(廻りに迷惑をかけることも多々)
たまたま、うちの子はマスクすることに抵抗がなく、着けるも外すも言われるがままな為、こういう考えになるのかもしれません。
このマスク生活と障害で、苦労されている御家庭では全然違う意見になると思います。
もちろん、私も子供にはマスクなんてさせたくないけど・・・。
この「障害者差別解消法」を知ったことで、今後役立つ場面は確実にあるとは思います。
う~ん、悩ましいです。考えがまとまりません。もう少し悩ませて下さい。
リトル (火曜日, 19 7月 2022 21:41)
自分の事ばかり書いてスミマセン。
あか組さんの投稿を否定する意図は全くありません。
あか組さんがここまで調べ、戦う武器をまとめたことに対しては心から尊敬し、感謝します。
佐々木 (火曜日, 19 7月 2022 21:45)
あか組さん、ありがとうございます。
名無し (水曜日, 20 7月 2022 07:42)
マスクしなきゃ入れない店に、なんで法律を通してまで入らなきゃいけないの?
名無し (水曜日, 20 7月 2022 07:44)
バス移動とかなら、わかるけどね。マスクしなきゃ入れない店なんか別に必要がなきゃ入らなきゃいいだろ。クズ会社なんだから。
ただし (水曜日, 20 7月 2022 12:30)
貴重な情報と、考えるきっかけを、どうもありがとうございます。
m(_ _)m
私も、自分の戦い方を模索し続け、諦めずに戦い続けていこうと思いました。
(๑•̀ㅂ•́)و✧
みんなが、生きたいように生きたいですよね☆♪
(*^^*)
アイヒマン (月曜日, 25 7月 2022 12:51)
マスク外せないのは戦前の竹槍訓練がやめれないのと同じ心理。
戦時中は本土空襲されて、敗戦が濃厚になるほど、ますます狂ったように竹槍訓練しだす。
コロナが弱毒化すればするほど、狂ったようにマスクとワクチンやりたがる。
日本社会は合理性がなく法的思考も拙い。理屈よりイメージと気分で動く。
マスク着用を竹槍訓練と重ねるイメージ戦略の方が効果が高い。