≪感想文≫映画「夜明けまでバス停で」

 

投稿者:グッビオのオオカミさん

 

映画「夜明けまでバス停で」観て来ました。

https://www.yoakemademovie.com/

 

 

小さい映画館で上映していました。

元は「コロナ論3」の第7章にあった、バス停にいた60代のホームレスの女性を通りがかった男が石のはいったレジ袋で撲殺する事件をモデルとしたフィクション。

 

「あらすじ」

映画はコロナ禍が始まる前、まだみんなマスクもせず、居酒屋などでにぎわう事が出来た時代。

主人公の北林三知子(板谷由夏)は昼間は自作のアクセサリーをアトリエで売り、夜は住込みの居酒屋でパートをしつつ、別れた夫の借金を返済しつつ生活する独身女性。

実家の母親が介護施設に入所すると、兄から電話があり「仕送り」までしなくてはならない。

ある日、居酒屋の若い女性店長、寺島千春(大西礼芳)が三千子のアトリエを尋ね、一緒にアクセサリーを作り始める。

店長の千春も少しずつ三千子に心を開いて来た所に「ダイアモンド・プリンセス号」の報道。

ほどなく居酒屋の売り上げは落ち、三知子を含めたバイト仲間は大半解雇となり、住込みで生活していた三知子は家も仕事も失う。実家すら当てにも出来ない三知子はコロナ禍でネットカフェすら使えないままホームレスになる。

一方、店長の寺島は居酒屋のマネージャー大河原(三浦貴大)の悪質な自分への対応や他の授業員への、パワハラ、セクハラ、が一層ひどくなり、解雇した従業員への給料未払いが発覚する。

ホームレスになった三知子はバクダンと呼ばれる元過激派の男(柄本明)と出会い、爆弾を作ろうとする…。

 

「感想」

本作品はコロナ禍で繰り返し出された「自粛要請」「時短営業」「緊急事態宣言」が如何に社会にダメージを与えて来たかがよく伝わります。主人公、三知子など登場人物は特に「コロナ禍」への見解は持たない。

しかし、非正規雇用、家族の借金など社会的に不利な立場にいる人間には確実に生活の基盤を奪う出来事でであり、生活の基盤を失う事は人間の尊厳を失う事に他ならない。

不利な環境でも真っ当に生きてきて、ホームレスになった三知子は「バクダン」を作ろうとする。

そこが抜けた様な世の中、何があっても「自己責任」の世の中。責任を取ろうとも対策を立てようともしない行政。

主人公、三知子がホームレスのバクダンに言います。

「ちゃんと抵抗したいの」

このやり取りを見た時に、形や方法は違えど、私がこのサイトにコロナ禍から書き込むようになった時と思いが重なった様にも、感じました。

エンディングはネタバレになるので、書きません(笑)。

しかし本当の勝利とは何か、各自の現場での戦いとは何か、狂気とは何か。

そういう事を色々と後から考えさせられるエンディングでした。

 

 

こちらは参考までに本作品の脚本の梶原阿貴氏への取材に基づく関連記事です。

 

【幡ヶ谷バス停での殺人の衝撃…。事件翌日に現場に立ち、自分ができることは「映画」だと誓った】

https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohiroaki/20220924-00315348

 

 

 

(管理人カレーせんべいのコメント)  

 

なるほど、これは考えさせられる映画ですね。

 

そもそも私は映画のモデルとなった「幡ヶ谷バス停事件」を知りませんでした。

 

(事件の詳細はコチラ)

幡ヶ谷のバス停で寝泊まりする女性を襲った悲劇 周囲が気にかける中で…東京・渋谷の暴行死事件

https://www.tokyo-np.co.jp/article/72648

 

『夜明けまでバス停で』という映画は「幡ヶ谷バス停事件」をモチーフにした創作ですが「コロナ禍の日本を50年先に残したい」という思いから作られたようですね。

 

 

主人公の「ちゃんと抵抗したい」という言葉は、私も共感します。

 

私はこのホームページに関わるにあたって「100年後の考古学者に発掘して欲しい」といつも願っていますから。

 

「ちゃんと抵抗した令和の国民もいた」

 

現世では「公正なるジャッジメント」が期待できない以上、後世の歴史家に託すことが希望です。


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コメント: 10
  • #10

    おてんば (土曜日, 29 10月 2022 19:08)

    先程、新宿の映画館で鑑賞しました。
    以下、感想です。
    日本の社会、政治は、本来、国民にやるべき仕事をせずに、自己責任を押しつけ、責任は取りません。
    そんな社会に生きているならば、自分がピンチの時に、実家の家族にお金を出す必要は無いし、別れた元夫の借金は離婚調停で元夫に払わせれば良いです。
    あなたが悪い男を選んだから、自己責任だとか、騙されたあなたが悪いなんて、周りの人は言いますが、だからと言って真に受けて諦める必要はありません。そんなことを言う人は、被害者のことを全く考えず、その話を簡単に終わらせたいだけで、自分は責任を取りたくない、思いやりの無い人です。
    自分で抗議し、調停員を味方につけて闘うべきです。仕事もチームワークを考えて頑張れば、家族みたいな絆を作れる職場もあります。
    ピンチの時に友人に助けてもらい、次は友人を助ければ、仲間になれます。
    プライドを捨て、人に助けてもらいましょう。困った人がいたら、お節介しましょう。
    人とは、人と人との間で生かされて人間です。

    また、非正規雇用の弊害も描かれていました。パートは誤魔化されて、不当に切られます。政治家は、金持ち権力者に都合の良い社会を作り、自分達だけが潤うシステムにしています。
    こちらも泣き寝入りせずに、労働基準局に話して自分の権利を主張していくべきですね。
    できれば、テロではなく、自分の身の回りから行動を起こしていかなくてはと思わせてもらえました。
    たけし社長も正攻法の抗議方法を教えて下さっているので、私も現場で試みます。
    ワクチンや、社会情勢で弱者が死に、転落していくコロナ禍は、もう終わらせたいです。

    因みに、新宿の映画館はノーマスクで入館し、マスクをつけろと言われましたが、私はマスクを持ってないので映画館のマスクを1枚いただきました。
    映画はコロナ禍の社会問題の内容だから、科学的根拠は考えてないと今回は理解しました。

  • #9

    リカオン (土曜日, 29 10月 2022 13:27)

    富山での上映は無さそうなので、富山市内のミニシアターに上映リクエストのメールをしてみました。他に「ドンバス」と「真実を教えてください」もあわせて希望したところです。

  • #8

    グッビオのオオカミ (木曜日, 27 10月 2022 22:16)

    カレーせんべいさん、掲載ありがとうございます。
    近くの映画館で見ました。豪華キャストでドラマの完成度が高かった感じがします。
    面白いのは制作の一人に「記録映像ワクチン後遺症」や「コロナチャンネル」で有名な長尾和宏医師がいてる事です。「痛くない死に方」で高橋伴明監督とは一緒に映画製作した事もあったようです。
    長尾医師が恐らく医療監修も兼ねていると思いますが、新型コロナウイルスを「危険な感染症」と一切描かず「社会や政治の不安感・閉塞感」として「暗示」するに止められています。
    登場人物が直接コロナ禍の統計的矛盾や免疫やウイルスの医学的矛盾を指摘もしませんが、コロナウイルスで直接苦しむ人を一人も出さないのは、ドラマの現実味を出し、「社会問題としてのコロナ禍」をよく浮き彫りにしてると思いました。

    映画を一度見た記憶で感想文を書いたので、細部は間違っているかも知れません。
    「ちゃんと抵抗したい」
    言葉のニュアンスは少し違ったかも知れませんが、主人公の言動の意味は同じだったと思います。

    コロナ禍は児童へのワクチン接種や、地域の伝統行事の衰退、あらゆる所に、言葉の無い形で社会の歪みを生み出しています。
    非正規雇用労働者や、経済的に立場の弱い人達が今回の主人公ですが、利己的な政治の在り方が多くの人の悲しみを無視し、そこを真剣に救済しようとしない政治の有り様は「統一協会問題」もある意味同じ事ではないかと思います。
    ちゃんと抵抗…出来るようでありたいと思います。
    考古学で少し発見される位でいいので。

  • #7

    ぺんぎん! (木曜日, 27 10月 2022 08:48)

    マスクフリー率が微増してるかな??
    と思われるのに、
    最近、立て続けにマスクフリーで不愉快な出来事に遭うのは何故やろう?
    偶々なのか、
    何かの予兆なのか??
    、、考え中ですが、、
    何にせよ、マスクフリーを心がけてるだけで、結果的に現場、世間に戦いを挑むことになってしまう事自体、異常な世界(SF)に自分は居るな、と思います。
    マスクフリー歴たかだか半年なりに、場数を踏んで、度胸も要領もそれなりに付いてきた、と自惚れながら思う時もあるのですが、
    やっぱり消耗し、心が折れそうにもなります(T ^ T)
    「ちゃんと抵抗したいの」
    映画はまだ観られてませんが、今の自分にはこの台詞が、心に入ってきます、物凄く。
    沁みる、とか、響く、とかよりも、もっと奥のところに、と言うか。

  • #6

    チコリ (水曜日, 26 10月 2022 13:53)

    コロナ禍、あの事件は衝撃でした。
    NHKが事件後、彼女の人生を追って放送したものを観ました。
    彼女はどうしたら良かったんだろう?と自分に置き換えて考えました。
    少なくともコロナ禍がなければ、ホームレスではあっても彼女は働き続けられました。

    離婚も、安定した仕事を続けられなかった事も、ホームレスになったことも、
    みんなみんな誰のせいでもない、「自分の責任」だから、と、
    周囲に助けを求められなかったのだろうなあ、と感じました。

    ホームレスの彼女に気づいていても、誰も声をかけて助けようとしなかったことも、
    今の日本の現実を感じます。

    こう言う映画がつくられる事に希望を感じます。
    「ちゃんと抵抗したい」いい言葉です。
    ちゃんと抵抗しないと蹂躙されます。抵抗しましょう。抵抗します。

  • #5

    山形県民 (水曜日, 26 10月 2022 09:37)

    良い映画の紹介ありがとうございます。
    11月4日から山形でも上映が始まるので観にいきます!

  • #4

    sparky (水曜日, 26 10月 2022 08:17)

    DVDが出たら観てみたいです。製作中も完成後も世界はめまぐるしく動き続けて、本編や本サイトを
    公正にジャッジする後世が存在するのかもやや怪しくなってますが。

  • #3

    リアル雪男 (水曜日, 26 10月 2022 06:50)

    この映画、見てみたい。だけど私の住んでる田舎じゃ多分見れないんだろうな…。
    DVDやサブスクで出てくれないかな。

  • #2

    さらうどん (火曜日, 25 10月 2022 23:00)

    映画を見てみたくなりました。
    出演者の中にルビーモレノという名前を見て「なつかしい」と思いました。

  • #1

    あしたのジョージ (火曜日, 25 10月 2022 22:42)

    観てみたい映画ですね。幡ヶ谷は私の職場から遠くないですが、知りませんでした。駄目だなぁ。