投稿者:リカオンさん
北日本新聞に永田和宏さんの著書「象徴のうた」が紹介されておりました。
これを読んで、早速私は著書が読みたくなり、Kindleで読み始めました。
本のタイトルにある「象徴」とは日本国憲法第一章第一条にある
「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」
に書かれている「象徴」のことです。
著者の永田さんは「どうすれば『象徴』たりうるのか、憲法の条文はいっさい何も語らない。
これではあたかも『象徴とは何か』は、その地位についた天皇ご自身でお考えくださいと丸投げしているようなものではないか」と書いています。
私も憲法の「象徴」って漠然とした言葉で、一体どうしたら人は一国の「象徴」になれるのだろうと思っていました。
永田さんは、平成の天皇が模索してこられた「象徴」の意味は被災者に「寄り添い」、犠牲者や遺族を「忘れない」という二つの要素からなっていると指摘しています。
この本は上皇様の皇太子時代から、天皇に即位し、譲位されるまでの足跡を辿り、その都度詠まれた短歌で天皇の思いを推し量るといった内容です。
上皇后様や今上陛下など他の皇族方の短歌も紹介されています。
短歌というと難しいイメージがありますが、著者の永田さんが短歌にまつわるエピソードを交えて当時の時代背景や皇族の思いを語っておりますので、堅苦しさは無く、楽に読むことができます。
むしろ、上皇さまや上皇后さまとともに被災地に赴き、ある時は慰霊の旅に、またある時は天皇ご一家のあたたかなやりとりに同席するような体験が読書で得られます。
最近、反論できない皇族をTwitterで批判するような殺伐とした事が続き、暗い気持ちになっておりました。
雑誌やネットだけの情報に踊らされて感情を高ぶらせている人こそこのような本を読んで、上皇様、上皇后様が国民とともに歩んだ道程を歩き、天皇制について一緒に考えて欲しいと思いました。
そして男系派の考えるような血統だけでは、到底象徴にはなり得ないとも思うのです。
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あるでぃー (日曜日, 14 5月 2023 01:33)
詠まれた短歌で御二方の歩みを辿る、、、こんな良い本があるんですね。歌だと詠まれたその時のご心情がすーっと入ってきますね。美智子様がサイパンで詠まれた歌が、ご覚悟も表現も言葉にならない程すごい、、、。歌人の永田和宏さんの解説も、上皇ご夫妻のご苦労を長くお側で見てきただけに良いですねー。これは手元においてじっくり味わって読んでみたいと思いました。ご紹介ありがとうございます♪
くぁん (日曜日, 14 5月 2023 00:12)
自分には短歌などの素養はないのですが、こうして、普段接触のない、皇室と国民が歌を通して、気持ちを交流させ合うのはとても良いですね♪SNSなどを取り入れた開かれた皇室…というのはやはり、日本には似合わない、根付かない気がするんですよね。
それにしても、サイパンの崖から身を投げた女性の足の裏に思いを込めて歌を詠むなんて…"よりそい"方がハンパじゃない。これをありがたいと思わない人間なんていないよ☆
やなちゃん (土曜日, 13 5月 2023 20:48)
新聞記事、拝読しました。しばらく暗い話ばかりつづいていましたが、優しく繊細な上皇陛下のお気持ちが伝わる記事だったので、ホッと一息ついて、殺伐とした自分の余裕のなさに気づけました。天皇が見守ってくださる日本の恩恵を感じました。素晴らしい本ですね。私も読んでみます。
リカオン (土曜日, 13 5月 2023 14:59)
採用ありがとうございました。
この本のお勧め点ですが、上皇様の時代の出来事ごとに一首ずつ、エピソードは2〜4ページほど、約60首ほどの和歌が紹介されています。1エピソード毎に発見があり、興味を深めながらいつのまにか上皇様と旅をしているかのような感覚になります。
小林先生が先例破りにあげていた稲作については、上皇様は最初は田植えだけだったのが、種まきから全ての作業をするようになったり、作付け面積を広げていき、平成の初めから株数が20倍になったとか。
また、養蚕については絶滅危惧の日本古来の品種の世話をされ、それは糸も細くて弱く、宮内庁の職員がこれはもうやめる提案されたそうです。しかし皇后様は古いものを残しておきたいと継続されたところ、正倉院の宝物の修復に品種改良された絹糸では太すぎて合わず、皇居で作られた絹糸があっていたため奈良時代の文物が見事復元されたそうです。