投稿者:まいこさん
待望の『夫婦の絆』連載、第一回、第二回と非常に愉しんでいます。
『夫婦の絆』の連載直前に上梓された『よしりん御伽草子』の『かぐや姫』には
「ねてもさめても最終フェイスの顔をおもいだしてくるしくなる」という名言がありましたが、
この20年は「秘密の密子の顔をおもいだしてくるしくなる」、続きがよみたくてたまらない月日だったかもしれません。
先生の新連載の頁をドキドキしながら開けて、彼女の顔をみたときは、夢かと思うほど嬉しく、
「ミツコはまだ?」と言い暮していた家族にすぐに連絡したほどです。
『夫婦の絆』連載という幸運を知る少し前に『最終フェイス』の原作を読んでいたのですが、
「かぐや姫」が男たちを虜にするように『最終フェイス』の一条かれんがスターになってゆくところ、実社会におけるタレントさんのなかにも、
「あの顔は見てしまったら目をそらせない」異形の方たちがいて、だんだんと見慣れてスターとして受け入れられてゆくというケースもあり、ルッキズムという言葉が
一般的ではない80年代に、この作品が描き始められたことに驚いていました。
20年ぶりに再会した令和の蜜子は、平成に描かれた密子と並べても、一見、見た目に変化はないはずなのですが、物凄く、可愛らしく感じます。
ミツコは20年の時を経て、奇しくも『最終フェイス』で一条かれんの母・麗子が予言したとおりの
「顔面の革命児、未来の超美人」になったのでしょうか。
それとも平成に数多(あまた)現れた異形のスターたちを経て、
令和の審美眼は変えられているということなのでしょうか。
見た目以上に、令和の蜜子の言動も、魅力が全開です。
第一話では、同僚に「いっちゃん」呼びをされて怒っていた蜜子ですが、そうなったのは「あのね、昨日いっちゃんがね、あ、いっちゃんって私の夫なんだけど☆」などと話していたはずで、「夫婦がお互い、何と呼び合っているか」は、特に同性には秘密にしておくべきであるという教訓でもあり、ほぼ完ぺきに理論武装していた平成の密子から、スキもある可愛い令和の蜜子へメタモルフォーゼしたのだなあと。
第二話では、さらに、好奇心ではない愛を求める可憐な蜜子・・・
もうハニーと呼びたい、秘密の密子から甘い蜜子になったのも納得。
平成では美しい津の美津子が、令和では沙耶になったことも気になっています。
第二話で、蜜子と沙耶が姉妹であることが明かされたとき、『古事記』の美しい此花開耶姫・コノハナサクヤヒメと醜い岩永姫・イワナガヒメの姉妹を想起しました。
此花開耶姫の音や文字や意味のうち、蜜子は此花、沙耶は開耶に対応しているような気もします。
此花開耶姫と岩永姫は姉妹一緒に、天孫の邇邇芸命・ニニギノミコトに嫁ぎ、
岩永姫だけが醜いという理由で父の元に送り返されるというのも、
沙耶と野木一郎・(のぎいちろうという音も、ニニギノミコトに少し似てますね)が関係し、
蜜子が未だに純潔であるということに対応しているのかしら…とあれこれ考えるのも愉しいです。
「20代のデビューから今までは、長い長い助走だった」先生の紡ぎ出す物語、第3話もさらなる宇宙の結晶を見せていただけること、心待ちにしています。
(管理人カレーせんべいのコメント)
「夫婦の絆」は、女性の方が、熱い感想文が多いですよね!!
またYouTube生ライブで「感想座談会」をやりたい気持ちがフツフツと湧いてきました。
おもしろい感想が出てきそう。
タイミングを見て、いつかはやりたいです^^
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おてんば (金曜日, 26 5月 2023 18:41)
蜜子の人生哲学を読み、蜜子は私かと思いました。
私は、蜜子や沙耶ほどではなかったですが、過去は被虐待児童で、両親からの暴力と暴言、姉妹、兄弟間差別を受け育ったので、お陰様で、知恵と忍耐力と、理不尽には1歩も引かない気骨、根性は鍛えられました。
行動面も、昔からいじめられっ子を目撃すると、ほっとけなくて介入てしますし、蜜子に全て共感。
私の場合、我が子の幸せよりも、自分の世間体を気にしながら虐待する毒親には、殺すよりも、世間を使って復讐するのが丁度良いと思います。
ククククク(笑)
もちろん殺すなんて、考えたことないですよ(^-^)
世間と言っても、不特定多数ではなく、見てみぬふりをしてきた共犯者に晒しました。
やなちゃん (金曜日, 26 5月 2023 13:15)
夫婦の絆は単行本になってから読もうと思っていますが、こんなに深い感動を伝えていただけると待ちきれない感がグンと高まります。あ〜早く読みたいっっ。
リカオン (金曜日, 26 5月 2023 00:16)
まいこさんの感想、とても深いです!古事記との関連性は気がつかなかったですが、なるほどと思いました。
人生を共に歩む者としては美しいだけでは片手落ちで、経験や賢さが重要だという事なのかなと。
私は最終フェイスは読んでいないので、関連性はわからないのですが、異形の蜜子がだんだん可愛らしくいじらしく感じるのは、他の方も同じなのだと知り、嬉しくなりました。
いじめられっ子を前に語る場面、蜜子が受けてきたであろう虐待との関連を示唆されましたが、酷い仕打ちを受けてもなお知恵を使って生き残った者でなければ語れない内容。
卑怯な手段では愛情は手に入らない事を語るという事は‥、彼女は愛を求める求道者なのだと‥、ここがとてもいじらしいです。