『夫婦の絆』第3話・第4話・第5話 感想

 

投稿者:まいこさん

  

『夫婦の絆』、息もつかせぬような展開と共に、蜜子をはじめ登場人物たちの名言や、人生との実践的な戦い方の数々に感じ入っています。

 

 

第3話は、いじめという名の卑怯な犯罪に対して、卑怯で復讐する方法。

 

「本当のことをわからせるって すごく難しいものなのよ」という蜜子のつぶやきは、

昨今の学ばない状況へそのまま投げかけたい言葉でもあり、その学ばない卑怯さが、

いつか巨大な復讐の津波となって襲いかかることへの予告でもあるように受け止めました。

 

「そんな岩 飛び越えてきて!」という沙耶の叫びは、

『差別論スペシャル』で「あたしの出身を知っても まだあたしが欲しいなら親兄弟を捨ててらっしゃい!」と自分の出身を踏み絵にした女性や、

『愛子天皇論』で身を投げた純粋まっすぐな漢乃益荒子の元婚約者を暗示しているかと思いきや、またも卑怯に卑怯で返す復讐、

その直後の壮絶な苦痛表現は、かえって生への実感を鮮明に湧き上がらせてくれるように思います

 

 

第4話は、人を守るために起こした行動への理不尽な結末に対する制裁

 

「暴力による教育がないから、こいつら人間になれない

こいつらカラダを泣かせなきゃ、心は泣かない」

 

蜜子の肉体言語はいっそ痛快で、過剰にデオドランド化されてしまった「話せばわかる」方式の教育では成し得ないものがあることが身に迫ります。

 

 

第5話の、沙耶にからむ男たちへの力による解決のあと、

「私はもともと馬力が強く反射神経が良すぎるの 訓練や鍛錬は私には無用!

脳に格闘のスイッチが入ったら、人の動きが読めてしまう、そういう体質!野生よ!!」と

快哉を叫ぶ蜜子は、惚れ惚れするカッコよさ。手弱女が英雄たり得ることが顕現されました。

 

そして「3人で同棲しようよ」という一郎の提案。

夫婦であることそのものが最大の謎で、蜜子が獲物をロックオンして結婚?という浅薄な想像をしていたのですが、まさかの一郎からのアプローチ。

 

それでも、回を重ねるごとに蜜子に魅了され、

令和の最終フェイスを美しいとさえ感じられるようになっているいま、

更新できないままの想像をあっさり超えて、

思わず博多弁が飛び出すほど沙耶の美しさに夢中になった一郎が、

蜜子のほとばしる生命力にも美を感じ、惹かれてしまったのも頷けます。

 

第5話は、沙耶と並ぶ麗人、先生渾身の筆致が冴える工藤漫珠が本格的に登場したのも眼福。

彼女の名は、紅蓮華・曼殊沙華を連想させ、

その毒々しい言葉と己の美しさを知り尽くしている様は、まさに喰らえば彼岸に行くしかない花のように思えます。

 

恋愛に関しては、蜜子はまだまだ初心と値踏みしているようにみえる漫珠が、どんな爆弾を夫婦の絆に投げ込むのか、そして蜜子と沙耶の親殺しという大罪がどのように着地するのか、

 

第6話以降も楽しみです。

 

 

(管理人カレーせんべいのコメント)  

 

いや~~、小林よしのり作品に対する素晴らしい感想文!

 

ようやく人間らしい気持ちで人の文章を読むことができました^^

 

ここまで心が荒むお盆を過ごすとは思わなかったです(;^ω^)

 

・・・

 

第3話目の「いじめという名の卑怯な犯罪に対して、卑怯で復讐する方法」というのは考えさせられました。

 

正直「卑怯にも価値の序列がある」とは盲点でした!

 

 

第4話目の「暴力による教育がないから、こいつら人間になれない。こいつらカラダを泣かせなきゃ、心は泣かない」は、人間性に対する真理を突いていると感じました。

 

痛みから無縁の場所にいる人間が、人の痛みなんて分かるわけがないです。

 

 

第5話目の「3人で同棲しようよ」にはビックらこいたぁ~~。

 

「そうか。その手があったかぁ~~~。」

 

・・・と思ったなどと言ったら、貴重な女性読者を失う気がするので私は言わない(笑)

 


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コメント: 5
  • #5

    おおみや (土曜日, 19 8月 2023 13:47)

    人生の実践的な戦い方、流石の表現ですね。

    ・藤あや子も曼珠沙華をカバーしております。藤あや子は他の曲もキーの配置が男声でも唄い易く、艶っぽい感じがよく出せます。とすると…あの女装の麗人の歌謡ショー、いいかも。
    ・我が職場のマスクの聖域部屋作戦【覆面結果委小田原城】はまさにそこの(普段から何も気づいてくれない男性陣に不満を持ちつつも序列絶対視の呪縛に合わせるしかないという思考の停止により一言も言わない選択をし続ける女性陣)への刺激の種としても利用しています=偉いからといって勝手に自分だけマスクを外して女性陣にはマスクを外してもいいよとは絶対に言わない男性管理職くんに(部屋の境界線越しに)工藤漫珠のクールさで注意しました。皆さん凍り付きました。
    呪縛はどこかで突破せねば、いつまでも打開できないんじゃないかね?という形をよりストレートに、無意識のリミッターが取り払われ卑怯を取り込みそれを使う蜜子にも(架空ながら)リアルを感じます。

  • #4

    近藤 (水曜日, 16 8月 2023 22:54)

    山口百恵の曼殊沙華をリクエスト。
    マンジュシャカ〜♪
    恋する女は〜♫

  • #3

    グッビオのオオカミ (水曜日, 16 8月 2023 14:55)

    なるほど…。
    密子の不気味な魅力をよく分析していますね。
    私は主人公いっちゃんが、不気味な気がします。
    同棲を提案したのも彼だし、記憶喪失を「受け容れる」そんな時は本来なら人は記憶を失ってる事に不安を感じるものですが、いっちゃんにはそれが無い。
    また、漫珠の正体もとても気になります。
    LGBTQの問題なども絡んで来そうな予感がしますが、何せ漫珠は得体が知れない。
    このキャラクターもカギを握ってそうですが…謎は深まるばかりです。

  • #2

    叶丸 (水曜日, 16 8月 2023 02:39)

    工藤漫珠トランス女性説では、名前の由来は工事(性別適合手術)で女性になったから、くど「うまん(ウーマン)」じゅとなります。
    こじつけ臭いですが(笑)。
    もし予想が当たっていたとしても、最初に思い付いたのとはストーリーは違いそうです。
    確か、漫珠の親友が一郎に捨てられたと言う事だったと思いますが、その復讐が漫珠の目的でしょうか?
    マンガらしく、当時の漫珠の容姿は現在とは別人のようなものであって欲しいです。

  • #1

    リカオン (火曜日, 15 8月 2023 21:14)

    まいこさんの感想は深くて、それにちょつぴり怖いのはなぜでしょう?

    あまりに蜜子の腕力強すぎて最近引いていたのですが、賢くて強い女性にはやはり惹かれるのか、また惹きつけられつつあります。
    さらに、愛情についてはウブで、愛を信じている蜜子が愛おしく感じます。気は優しくて力持ちなところは男も女も魅力になるんですね。

    工藤漫珠氏は叶丸さんの読みでは性自認が女性のトランスジェンダーではないかとの事でしたが、「悪い悪い一郎さんはいつ目覚めるかな〜〜っ!?あははははははははは‥」の笑い方が男性ぽかったので元男性というのは当たっているかも。

    3人での同棲を提案する軽薄な一郎も博多弁が出るのは、小林先生の分身???

    5巻の最後のページ、ケモノ親父を消す相談を二人でしている時の沙耶の嬉しそうな表情と「明日殺すの?」と期待する台詞。恐ろしい相談だが、それを招いたのは親父の方だ。

    イヤちょっと待てよ。この狭い男尊女卑の島は実は男尊女卑渦巻く島国日本の揶揄なんじゃないか?理不尽な女性への仕打ちを止められなければ漫画と同じ事(女性の復讐や脱出)が起こるかもよ。