「夫婦の絆」第6話の感想

 

投稿者:まいこさん

  

『夫婦の絆』、第6話も、人間の欲動を抉り出すような凄まじい展開に瞠目しています。

 

特に気になったのは、初登場の母親です。

 

襖の向こうから、幽霊のように現れる姿は、『ゴーマニズム宣言』第三巻に収録の第六十四章「礼に始まり霊に終る」で描かれた幼い先生が恐怖したガラス戸の向こうの女の人のようで、夢にも出てきそうな恐ろしさに震撼しました。

 

愛情を失った者が関心を向けてもらうために、病気になったり身なりを構わなくなることはよくあることで、それでも、セルフネグレクトの果ての屍のような骨格をよくよくみれば、彼女は元は、美しい人であり、それゆえにプライドも高いのではないかと推測できます。

 

もしかすると、父親が浮気をするのは、彼が入り婿で、実は最後のところで妻に頭が上がらないがゆえの反動によるもの、または、美しい妻から、自分に似た醜い蜜子が生まれたことへの負い目もあるからでしょうか。

 

そうなると、蜜子は父親と母親の夫婦の絆を壊した元凶の一つということになるのでは?

 

母親が娘たちを裏切るような発言をしたのは、まずは愛人の娘である沙耶が本家に入り込みあろうことか、母娘二代にわたって夫と関係しているというおぞましさへの怨みでもあり、夫婦の絆を壊した蜜子への復讐、さらには夫の生殺与奪権を渡してなるものかということなのかも。

 

「人生に倫理観を持ち込む者は弱者よ!人生は欲望を貫く覚悟だけ!それだけよ!」と

 

蜜子が刑事に向かって叫んだ言葉は、娘二人の罪を知っても、なお平然と欲望を貫く父親と、

 

平気で娘を裏切る母親の気質を正しく受け継いでいることを表していて、首尾一貫、矛盾なく迫力ある人物造形が為されていることに、胸のすくような爽快感を覚えます。

 

 

この倫理も欲望も軽く飛び越えて、なお可愛らしいという蜜子に魅了されっぱなしです。

 

彼女のミッションが如何に果たされるのか、第七話も楽しみです。

 

 

(管理人カレーせんべいのコメント)  

 

まいこさんによる「夫婦の絆」の考察、深くて、すごいなぁ。

 

私はあの母親の「自分に始末もつけられない」というセリフから美意識を感じ取りました。

 

あのまま「サイテーな母親」で終わるとはどうしても思えないです。

 

そして私の推理では・・・、蜜子は殺されてはいないです!(笑)

 

 

 

27:35 『夫婦の絆』第6話 初見読み


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コメント: 2
  • #2

    ひとかけら (火曜日, 26 9月 2023 05:11)

    妻は夫を心から愛しているけど倫理観ゆえに沙耶と関係を持ってるのを許せないという可能性は有るのかなと思ってます。夫婦の絆は色んな形が有り他人や子供たちにも分からないのでは。いっちゃんと蜜子の関係も一筋縄ではいかないのかも知れません。蜜子はイッチャンに深い愛情を注いでいるけど愛情と憎悪は表裏一体なので何かのキッカケに深い憎悪に変わるのかも知れません。
    それにしても崖から落ちた蜜子が自分が幽霊になってる事に気付かないのであれば面白いです。そうなると幽霊になったジャニー喜多川がセクハラを起こすという先週の悪のタッグに対応した形になりますね。
    これからも悪のタッグ、夫婦の絆に期待します。推測ばかりの文章失礼しました。

  • #1

    リカオン (月曜日, 25 9月 2023)

    まいこさんの「夫婦の絆」の感想が深くて、その域にはとても辿り着けませんが、たしかにあの痩せ衰えた母親は、肉付き良ければ美人ですね。

    家族構成が複雑であの姉妹は異母姉妹なのかもよく分からなくて、混乱してます。
    あの母親との関係も今後どうなるのか、母親ともある程度けりがつかないと島を出られないのではと思うので、今後の展開が気になります。

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    別スレッド、まいこさんご紹介の電子書籍版キャンペーンでゴー宣3巻を入手し、64章を確認しました。(直ぐに参照できる電子書籍便利!)最終ページ「人はその生死の境にちゃんと自分で最後の選択をするのではないだろうか?‥中略‥もういいか‥この辺で死のう!」
    ここまで、ホラーで話が進められていましたが、私は最後の最後で、ネイティブアメリカンの話を思い出してしまいました。

    死期を悟ると「今日は死ぬのにいい日だ」と言って外で椅子に座ってその時を待つという。
    で、結局お迎えが来なかった場合には「今日は違ったようだ」と言って帰って来る。
    というのを思い出してしまいました。自然とともに身を任せるネイティブ・アメリカンの考え方が何となく好きです。

    コロナインフォデミックで考えさせられたスウェーデンの死生観を思い出しました。